地球に舞い降りた天使たち

飛騨地域の就労支援事業所

■就労移行支援事業所

対象者 就労を希望する65歳未満の障害で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者
サービス内容 一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適正に合った職場探し、就職後の職場定着支援を実施
事業所 はたらくねっと、ぷりずむ

■就労継続支援事業所A型

対象者 通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者
サービス内容 通所により、原則雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について支援
事業所 ひだっこの里、富士リネン、環境ネット

■就労継続支援事業所B型

対象者 通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者
サービス内容 事業所内において、就労の機会や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に向けた支援
事業所 コスモス、青空作業所、きららハウス、ハートネット、はたらくねっと、憩いの家、げんき、光の家、コスモス、ひだまりの家、ぎふちょう金山

地球に舞い降りた天使たちⅠ「障がい者を、地域の力に」

住み慣れた地域で、自分らしく生きること。
これは、誰もが望んでいるあたりまえのことです。
それは、健常者も障がい者も同じこと。
そして自分の能力に応じて働くことで、 社会の一員としての自信や誇りを感じることができます。
いま飛騨地域では、障がい者が安心して働くことができるよう、 就労支援をする施設や障がい者を雇用する企業も増えてきました。

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地球に舞い降りた天使たちⅠ

障がい者就労支援ネットワークHIDA

障がい者就労支援ネットワークHIDA

  • [代表]ひだ障がい者総合支援センター ぷりずむ

センタ―長の杉本さん(右)と管理責任者の山平さん
センタ―長の杉本さん(右)と管理責任者の山平さん

障害者就労支援ネットワークHIDA(以下ネットワークHIDA)では、障がい者を雇用している企業や福祉サービス提供事業所、学校(特別支援学校)、相談支援事業所、行政などと連携を密にして、障がい者が働くことについての相談やサポート活動などを行っています。
たとえば、企業がスムーズに障がい者の雇用ができるように支援をし、また働く障がい者が末永く働くことができるよう支援をしています。
具体的には、《どのような仕事に適しているか提案する》、《職場で仕事を覚えられるよう適宜指導に入る》、《各種助成金の活用など負担軽減に関する情報提供》、《家族や施設などと連絡を取り合い、生活上の相談に応じる》、《働いている障がい者の余暇が充実するようさまざまな行事の企画、勉強会などの開催》など、多岐にわたっています。
また、ネットワークHIDAでは実際に就労している障がい者の体験発表をする〈障がい者就労支援フォーラム〉を開催。本人からの体験発表や障がい者を雇用している企業の担当者からの体験談や現状・展望などを話してもらったりという活動にも力を入れています。
「ここに企業の担当者にも参加してもらって、本人の体験発表を通して、地域の企業で戦力として働く障がい者もたくさんいるんだということを知って欲しいんです」と話してくれた山平さん(就労移行支援事業所ぷりずむ・サービス管理者)。そのほか年間の事業は盛りだくさんで、ぷりずむのスタッフだけではできないことから、さまざまな事業所と共催をしたり、役割分担をして開催しています。
「そうすることで、どんどん輪が広がっていきました。それぞれの事業所が頑張っているんですが、点が線になり、いまは面になっていっているのかなと思います。ネットワークのみなさんの持ち味や強みをじょうずに活かしながら、ネットワークが充実してきているのではないかと思います」。 

NPO法人さんしょうの会 きららハウス

NPO法人さんしょうの会 きららハウス

  • 就労継続支援事業所B型
  • 高山市三福寺町128
  • TEL&FAX.0577-32-8709
  • e-mail kilala-house@mist.ocn.ne.jp
  • 開所/平日(土・日・祝祭日を除く)9:00~16:00

管理者の道添さん
管理者の道添さん

菊の苗付け
菊の苗付け

高山市図書館の清掃
高山市図書館の清掃

パンづくり
パンづくり

《地域の中で生き、地域との交流を図りながら、こころ豊かに生活できる場を大切に》
平成15(2003)年3月、[NPO法人さんしょうの会きららハウス]としてスタートしてことしで10年目。「アットホームな雰囲気を大事にしています」と話してくれたのは管理者の道添さん。「ここは、一人ひとりの想いを大切にしたいということを主眼においている事業所です。利用者が自分のペースに合わせて、自分の想いに添って生きていけるような場所を提供できたらなと思っています。それを支援するのが僕らの仕事だと思っています」。利用者はパン工房で焼いたパンの訪問販売をはじめ、菊の苗付けや木工作業などに取り組んでいます。「小麦粉がパンになり、それが販売を通してお金になり、そしてお客さんからは、おいしいよ、また来てなと声をかけてもらうことによって、自信をもつようになったのではと感じています」。いま、きららハウスでは一般の事業所や福祉関係の施設など45軒くらいの〝お得意様〟があって、2週間に1度くらいのペースでパンの訪問販売をしています。もう少し販路を広げたいと考えていますが、収益優先ではなく、その日にできたパンを自分たちのペースで売りに行くというやり方のため、大量の注文には対応できませんが、あと五~六軒くらいなら応えていくことができます。
働くことはもちろん大切ですが、きららハウスでは余暇の過ごし方にも配慮しています。
「給料日には、希望者を募ってショッピングを楽しんだり、ホテルのレストランでの食事会を開催しています。また社協等が企画するもちつきやリンゴ狩りなどは、仕事を休んで参加したりしています。昨年は劇団四季のミュージカルに招待してもらったので、希望者で乗り合わせて出かけました。とてもいい体験ができたなと思っています」。 

飛騨市障がい者自立支援施設 憩いの家

飛騨市障がい者自立支援施設 憩いの家

  • 就労継続支援事業所B型
  • 飛騨市古川町下気多1407-1
  • TEL.0577-73-0150 FAX.0577-73-0170
  • e-mail ikoinoie.yosiki@woody.ocn.ne.jp
  • 運営日/月~金(祝祭日・12/31~1/3を除く)8:00~17:00

施設長の奥田さん
施設長の奥田さん

室内での作業
室内での作業

み殻くん炭づくり
もみ殻くん炭づくり

もみ殻くん炭/ストラップなど
もみ殻くん炭/ストラップなど

《自立した日常生活および社会生活が送れるように個々の目標達成を支援する》
古川駅より徒歩およそ十分。町内の眺望が開ける、丘の中腹に建つ[憩いの家]。平成20(2008)年4月に、精神障がい者を対象とした地域活動支援センターとして開所しました。その後平成23年4月からは、就労継続支援B型事業所として、また生活支援センターとして運営しています。飛騨市では唯一の施設として、神岡町や河合町、宮川町の人たちも受け入れています。
「ここでは、就労を通して社会復帰をしていただくことがメインになっています。オリジナル商品を生産する〈自主生産活動〉と、地元企業から依頼される仕事の請け負いや、地元農家の作業の一端を担当させてもらう〈受注作業〉の二本立てで進めています」と、作業所の紹介をしてくれたのは施設長の奥田さん。登録者は現在21名ですが、平均12名くらいが利用しています。
「自主生産」のメインとなるのは〈もみ殻くん炭〉で、堆肥づくりに使われるほか、畑の土壌改良材として、そして冬期の融雪にも利用でき、そのまま畑の土に鋤き込んで使うことができます。「楽な作業ではないんですが、原料代がかからないので、みなさんに還元できます。また外で作業することがいいという方もいます。カレンダーの裏紙を利用した〈リサイクル封筒〉は自主生産のもうひとつの主力商品で、飛騨市や市内の小中学校に購入してもらっています。また麻糸を編み込んだ〈ヘンプアクセサリー(ストラップなど)〉は、スタッフのネームストラップにも利用されている商品で、イベントなどで販売しています。またタオルやTシャツなどへのオリジナル印刷(シルクスクリーン)にも取り組んでいます。印刷は手仕事のシルク印刷ですが、それができるようになると就職することができるのかもしれないと、利用者本人も、そのつもりでがんばっています」。
いま月に1日か2日は、生産活動以外の活動を企画しているそうですが、「余暇を求めている方もいるんですが、働くほうがいいという方もいて、参加人数が少なかったりします。みなさんのニーズにあわせるのがなかなか難しいですね」と、奥田さん。 

NPO法人ウェルコミュニティ飛騨 青空作業所

NPO法人ウェルコミュニティ飛騨 青空作業所

  • 就労継続支援事業所B型
  • 高山市山口町1297-1
  • TEL&FAX.0577-35-1559
  • e-mail welcome@movie.ocn.ne.jp
  • 開所/9:00~17:00

管理者の道添さん
支援員の井端さん

菊の苗付け

《自分に誠実に 相手に思いやりを 一歩ずつ前進を》
「平成18(2006)年12月、西洞町に空町作業所を立ち上げました。翌19年4月から森下町の青葉の家を合併して、しばらくそれぞれで運営していましたが、平成22年4月に現在地に移転、青空(青葉の青と、空町の空より)作業所として活動をスタートしました」と話してくれたのは、理事長の柏木さん。〝一人ひとりを人生の主役に〟を、活動のモットーとして掲げています。「障害のある方の場合は、どうしても家族や社会の都合で、脇役になってしまいがちです。障害があってもなくても、自分が主役として、住み慣れた地域で生きがいをもって生活ができるようなお手つだいをさせていただいています」。作業所の利用者は現在、9割以上を送迎しています。現在1日平均24~25名が利用していますが、まだ利用者を受け入れる余裕があるとのこと。これまで青空作業所では、20名が就職というかたちで卒業していますが、これからは年間5名の就職を目指しています。
「障害があっても、働く力をもっているんです。ただコミュニケーションがうまくできなかったり、人間関係を築くことに少しだけ難があるということですので、そこを理解していただければ、社会で十分に力になります」と柏木さん。
「誰かに頼られるとか、任せてもらえるということが自信になって、利用者の表情が明るく変わりますね」と、実務について話してくれたのは支援員の井端さん。
この作業所の自主生産品にはリサイクル石けんやEMボカシ、紙バンド製のかごなどがあります。カレンダーの裏紙を利用したリサイクル封筒は買い上げてもらった方に、封入や発送作業などをまかせてもらうこともあります。
青空作業所では、ここを巣立っていったOBがしばしば顔を出してくれて、いろいろな協力をしてもらっています。作業所で新しいデザインのものをつくりたいときにアドバイスしてもらうこともありますが、就職した人の体験談を聞くことがとても役に立っているといいます。
青空作業所では、室内の作業だけでなく、屋外での作業も請け負っています。そのひとつが、一之宮町にあるポテンシャル農業研究所での作業です。「作業所の外に出ると、利用者の表情が違うんです。だから、できるだけ外に出る機会をつくりたいんです。もちろん農業などでも、つらいことがあります。夏は暑く、片付けなども大変ですが、少しでも利用者の工賃を増やしたいと思っています」。 

地球に舞い降りた天使たちⅡ「障がい者は、地域のチカラ」

一人ひとりの障がい者が、それぞれの能力にふさわしい働き方で自信をもって働くことができる場所と機会を提供したいと、さまざまな取り組みを続けている「障がい者就労支援ネットワークHIDA」。
障がい者を雇用している企業や福祉サービスを提供している事業所、支援学校、行政などが連携して、障がい者が働くことについての相談やサポート活動を行っています。

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地球に舞い降りた天使たちⅡ

ひだ障がい者総合支援センター ぷりずむ

ひだ障がい者総合支援センター ぷりずむ

  • 高山市天満町4-64-8
  • TEL.0577-32-8736 FAX.0577-32-6281


実際の職場(エイコク)での作業は、メンタルトレーニングにも役立ちます。

《職業、住居・生活支援の相談や手続きができる[ワンストップ・サービス]の充実をめざす》
ひだ障がい者総合支援センターぷりずむ(以下ぷりずむ)は、『地域生活支援センター』、『障がい者就業・生活支援センター』、『就労移行支援事業所(ジョブコーチ支援事業含む)』、『グループホーム』の四つの事業を運営する、多機能型の総合センターです。ここでは、就労・生活支援だけでなく、就学や進路の相談、自立に向けての相談など一連の流れで支援できる、いわゆる[ワンストップ・サービス]体制の充実を目指しています。
ぷりずむではこれまで、ジョブコーチ(職場適応援助者)制度を活用した取り組みを続け、成果をあげてきました。ジョブコーチとは、障がい者と一緒に実際の職場に入り、障がい者がひとりで作業ができるように支援をしたり、企業に向けては障がい特性に応じた業務内容や指導方法などについて助言や提案をします。つまり、[企業][障がい者][家族]の三者を中立の立場で橋渡しする役割を担っています。
いま、障がい者の働く場が少しずつ広がってきています。
「障がい者を受け入れたことのない企業に紹介したときに、とてもまじめな勤務態度が好評で、『障がいをもっていても、一生懸命働いてもらっている。障がい者も戦力になるんだ』ということを知ってもらうことができました。もちろん、障がい者にも向き不向きがあるので、障がい特性を理解してもらうことで、適材適所での働き方ができますから、さらに雇用の機会が広がっていくんじゃないでしょうか」と山平さん。
就労中の障がい者や、企業の担当者の体験談を聞くことができる〈障がい者就労支援フォーラム〉への参加を呼びかけています。 

株式会社エイコク

株式会社エイコク

  • 高山市国府町名張1587
  • TEL.0577-72-3227

会長の細江川さん(右)と工場長の佐藤さん
会長の細江川さん(右)と工場長の佐藤さん


適材適所の配置で仕事をこなしています

昭和59(1984)年創業の株式会社エイコクは、産業機器や医療機器の重要な部品として、また電光掲示板や観覧車などの電気を使用する機械部分、さらにはパチンコ台などの心臓部ともいえる電子機器や電子部品などの製造をする企業で、現在5名の障がい者が社員として働いています。
「本当に、一生懸命なんです。あいさつもちゃんとできるし、まじめだし、素直で、決めたことはきちんとやってくれます」と笑顔で話してくれたのは、会長の細江川さん。[ひだ障害者総合支援センターぷりずむ]や[はたらくねっと]から紹介された障がい者のほかに、特別支援学校の卒業生を受け入れています。
「企業の社会貢献の一つでもありますが、障がいを持っている人たちに働く場を提供したいと思っていますし、これからも採用していきたい」(細江川さん)と、障がい者の雇用に積極的なエイコクでは、ぷりずむの就労移行支援事業所の訓練の場を提供して、作業をしてもらっています。工場内は清掃が行き届き、棚やケースが整然と並ぶ良好な労働環境が整備され、そこでスタッフはもくもくと働いています。
「実際の事業所で作業を行うことによって、会社の雰囲気を知りながら仕事の段取りを覚えていけます。メンタルトレーニングにもなります」と話してくれたのは、ぷりずむの山平さん。
「最近は、多品種少量生産の傾向にあります。仕事自体も、同じ作業を続けることが減って、臨機応変にやることが求められるようになりました」と、工場長の佐藤さん。そこで、仕事の流れを見ながら、適材適所に配置して取り組んでもらっています。
「家族にも言いづらいことを、私には相談してくれることもあります。聴いてあげることが大切です。もちろん悪いときは叱りますが、いいときは褒めます。上からの目線でなく、ちゃんと話をすれば、わかってくれます」と、ときには障がい者の母親役を担うこともあると笑う細江川さん。
「細く長く勤めてほしい。みんなが幸せになればいいですね。もちろん、会社も大きくなればいいんですが」。 

障がい者支援施設 飛騨慈光会 吉城山ゆり園

障がい者支援施設 飛騨慈光会 吉城山ゆり園

  • 高山市国府町宇津江440-1
  • TEL.0577-72-3820

園長の桐山さん
園長の桐山さん

《一人ひとりの心身の特性をふまえて本人に寄り添った個別支援計画を作成し、それに基づいて必要な支援を安全かつ積極的に提供します》。
吉城山ゆり園は、平成3(1991)年4月、知的障がい者の授産施設として開園しました。平成24年4月から障がい者支援施設となり、現在に至ります。ここでは18歳以上の方で、主たる障がいが知的障がいであって、一般雇用されることが困難な方に利用してもらい、自活に必要な支援を行うとともに、自立することを目的とした取り組みを続けています。
「開園当時から生産活動に力を入れてきました。宇津江地区は農業の盛んな地域でもあり、農業に適した環境だったことから、生産活動の主力として農業を選択し、取り組みました。これまでの生産活動は試行錯誤の連続で、生産物はホウレンソウなど蔬菜から始まり、トルコキキョウなどの切花、シイタケ栽培など多種にわたりましたが、開園五年目くらいに、周辺の自治体から花苗購入の働きかけもあり、『農業グループ』が『園芸課』と改称され、名実ともに花苗栽培が中心となっています」と話してくれたのは、園長の桐山さん。
毎年、楽しみにしている人たちも多く、春と秋に行われるセールの時期になると、電話での問い合せが増えています。セールには花苗を求めて、近隣の人たちだけでなく遠くからもたくさんの人たちが訪れます。また、下呂方面への配達もしているとのことで、吉城山ゆり園のすべての売り上げの中でも、おおきな比率を占めています。
「春はマリーゴールドがよく売れます。また秋にはパンジーなど雪解けに咲く花に人気があります」(桐山さん)。
吉城山ゆり園には、作業の内容によって4つの課があります。花苗を扱う『園芸課』、額縁の製作や袋などの縫製を行う『工芸課』、エコロパッドや綿棒などを扱う『生活課(ゆとり)』、そして焼きたてパンの『古川分場』があり、利用者のそれぞれが、自分で選んで取り組むことができるようになっています。
いま桐山さんの悩みは利用者の高齢化です。最高齢の利用者は75歳、60歳以上がおよそ半分で、平均年齢が58歳とのこと。吉城山ゆり園では毎年3月に成人の祝いをしていますが、そのときに還暦や古希の祝いを合わせてしているそうです。
「これからは、グループホームなど、高齢者を中心とした生活の場が必要になってくるんじゃないでしょうか」。

障がい者支援施設 吉城山ゆり園古川分場

障がい者支援施設 吉城山ゆり園古川分場

  • 飛騨市古川町若宮2-1-66
  • TEL.0577-74-0260 FAX.0577-74-0263

小坂さん(左)今井さん(中)谷口さん(右)
小坂さん(左)今井さん(中)谷口さん(右)

菊の苗付け

菊の苗付け

菊の苗付け

《ようこそ、山ゆりベーカリーへ。》
飛騨市古川町、飛騨古川駅の北にある古川総合会館では、お昼ともなるとおいしい焼きたてパンを求めてたくさんの人が並びます。パンの種類は食パンやバターロールをはじめ、あんぱんや調理パンなどおよそ四十種を数えます。そして、それぞれにリピーターがいて、「たまたま仕込みが間に合わなくて作ることができなかったパンに限って、それを目当てに買いにくる人がいるんです」と、今井さんは笑います。ここは、吉城山ゆり園にあった食品加工部門から継続したもので、いま15名の利用者を、3名のスタッフがサポートしています。
「ここの利用者は、就労という意識よりも、楽しく働きたいという人が多く、毎日休むことなく、きちっと仕事をこなせる人たちなんです」と今井さん。
利用者はパンの生地を丸めたり成形したり、そして焼き上がったパンやクッキーなどの袋詰めから梱包、そして接客もしています。
総合会館のロビーでの販売がメインですが、市役所やハートピア古川、そして学校関係、さらにはに地域の事業所や警察署にも販路を広げています。
「以前の職員がさまざまなアイデアを置いていってくれたんですが、新しいものも取り入れてきました。新しいパンのメニューを考えることも楽しいですね。利用者の関心も高く、『なにをつくっているの』と、興味津々のようです」(今井さん)。
これから注文販売をしていこうという予定もあって、スタッフが描いたパンの絵を見せてくれました。一番人気はメロンパンで、1日に30から40個はつくるそうですが、売り切れてしまうんだそう。
総合会館は月曜日が休館のため、その日は仕込みをしたり、クッキーを作ったりしています。およそ12年ほど続けていますが、地域の人たちからは「山ゆりのパンはおいしいよね」と、評判も上々です。

地球に舞い降りた天使たちⅢ「障がい者も、地域の力」

自分が生まれ育った地域で、働きながら自立すること。
そんな障がい者の希望を実現することができるよう支援しているのが「障がい者就労支援ネットワークHIDA」。
障がい者を雇用している企業や福祉サービス提供事業所や支援学校、行政(ハローワークなど)などが連携して、障がい者の雇用についての相談や各種支援活動を行っています。

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地球に舞い降りた天使たちⅢ

たかやまコスモス事業所

たかやまコスモス事業所

  • 就労継続支援事業所B型
  • 高山市森下町1-208山王福祉センター3階
  • TEL.0577-36-2943 FAX.0577-36-1385
  • 開所/平日(月~金曜日)9:00~15:00 土・日・祝日休業

施設長の三川さん
施設長の三川さん

運動会でのミナモダンス
運動会でのミナモダンス

部品の組み立て
部品の組み立て

打江精機での箱ふき
打江精機での箱ふき

高山市三福寺町にあるリサイクルセンターでの作業
高山市三福寺町にあるリサイクルセンターでの作業

 
陶芸 こいのぼり 1,500円

 
秋桜(コスモス)織り
コインケース500円
名刺入れ400円
バッグ1,500円〜

 
陶芸 おひなさま 1,200円

《仕事を通して地域に貢献》
[たかやまコスモス作業所(以下コスモス)]は、昭和48年、当時の障害者の保護者らが通所の授産所として開設しました。その後、高山市福祉サービス公社が運営し、平成十九年の障害者自立支援法施行にともなって、就労継続支援B型事業所として指定を受けました。岐阜県下でも古く、高山ではいちばん歴史のある施設として知られています。「定員は35名ですが、ふだんは30名前後の人たちが利用しています。創設の時から通っている利用者さんもみえます」と話してくれたのは、施設長の三川さん。コスモスでの作業は、企業から受注している仕事がメインで、部品の組み立てや箱折、着物の糸とりなど、そのほか三福寺リサイクルセンターの作業所で、ビン・ペットボトルの選別作業を行っています。また施設外の作業として打江精機や山味屋の工場での仕事などがあります。
「協力してくださる企業さんには、厳しい状況のなかで、私たちの仕事を確保していだいています。本当にありがたいことです」と三川さん。いま10名のスタッフで利用者をサポートしています。
「障がい特性によって、得意分野がそれぞれあるので、そこをマッチングさせることで、本人も楽しみながら全力を出していくことができます。利用者さんにとって負担になってはいけないのですが、仕事がたくさんあると、頑張ろうという気持ちになるんですね」とサービス管理責任者の日下部さん。
仕事がある、働く場があるということが、人をこんなにも生き生きとさせるのだということを、教えられたと言います。コスモスには自主製品もあります。機織りによる手織りの布でつくるコースターやペンケースや陶芸製品などで、受注生産にも応じられるとのこと。 
[コスモスの花は可憐で一見弱々しく見えますが、実はどんな荒れ地にでも育ち、大地にしっかり根をはって生きるたくましい花です。私たちの活動も、コスモスと同じように、ボランティアや地域住民、行政、保護者などの幅広い人たちの温かい根によって支えられています。「コスモスの花のように、地域の中で、社会の一員としてたくましく生きられるように」との願いが込められているのです]。コスモスの名前の由来です。

はたらくねっと

はたらくねっと

  • 高山市障がい者就労支援事業所
  • 就労移行支援事業・就労継続支援B型事業
  • 高山市岡本町2丁目250番地
  • TEL.0577-62-9017 FAX.0577-62-9016
  • Eメール hatarakunetto@yahoo.co.jp
  • 開所/月~金曜日 9:00~15:30
  • 休日/土・日曜日(GW・お盆・年末年始)※土日祭日利用に変更する場合もあります。

職業指導者の山岸さん
職業指導者の山岸さん

管理責任者の長瀬さん
管理責任者の長瀬さん

《働くチャンスと働きつづけられる環境をサポート》
平成二十三年五月にオープンした[はたらくねっと]。ここでは、就労移行支援事業(以下移行/定員10名)と、就労継続支援B型事業(以下B型/定員30名)があり、ふだんは1日平均で22名から28名がここを利用しています。旧高山市内が中心ですが、飛騨市や下呂市の利用者もいます。また萩原から来ている利用者は、本格的な就職を目指しています。はたらくねっとでの作業は、フレスポ(商業施設)の駐車場や公共トイレの清掃、公民館の清掃などの清掃がメインですが、そのほかに自主製作品として、手提げのバスケットや英字新聞のバッグなども作っています。
そのほかに高山市や飛騨市の企業からの内職の仕事もあり、利用者が段取りを組んで、納期を決めて納めるというかたちをとっています。
「段取りは、仕事をする上ではとてもたいせつなことで、移行の利用者には、普段からやってもらうようにしています。またビジネスマナーの勉強や発声練習、声を出して読む練習、それから面接訓練もやっています」と山岸さん。
「利用者たちはみな、仕事にまじめに取り組みます。それを知ってもらえれば、企業で働く場が必ずあるはずです。こんなことは無理だろうといった、先入観を持たないでほしいですね」と長瀬さん。
はたらくねっとの移行では、開所からこれまでに高山市内のホテルや飛騨市の企業、特別養護老人ホーム、飛騨市役所などに就職した利用者が五名います。はたらくねっとでは、就職後も、企業などにスタッフが出向いてさまざまなフォローをし、定着支援に力を注いでいます。「ここは静かで環境もいい」と、利用者には好評です。2年目になって、「はたらくねっとといえば就労支援」というように定着してきました。「地域あっての障がい者支援なので、町内やアスモの駐車場、辻ケ森神社を中心にゴミ拾いや清掃に積極的に参加しています」。  

株式会社 駿河屋魚一

株式会社 駿河屋魚一

  • 高山市岡本町2丁目45番の1
  • TEL.0577-34-5111

吉本さん
吉本さん


入り口にある英字新聞のバッグ(はたらくねっと)

昭和8(1933)年、魚一商店として創業した株式会社駿河屋魚一(以下駿河屋)。飛騨の人たちにとっては、生鮮食品の鮮度の良さと富士山のマークがトレードマークの飛騨高山フレッシュフーズ駿河屋(スーパー駿河屋)としておなじみの企業です。
「企業活動の一環として障がい者の雇用に取り組んでいます」と話してくれたのは、取締役人事総務部長の吉本さん。駿河屋では、厚生労働省が推進する《障害者雇用促進法》に準拠した取り組みをするなかで、障がい者の就労支援を行っています。就労支援事業所のひとつである[はたらくねっと]の利用者は、駿河屋の商品券を入れる箱づくり(箱折)のほか、スーパーの買い物カゴの洗浄、フレスポ内にあるエブリ(スーパーマーケット)のトイレ清掃などに取り組んでいます。
「はたらくねっとさんに、いろいろ提案をしていただいて、障がい者の方にできることをお願いしています。企業としてあたりまえのことをすることで、障がい者の方のお役に立てることができればと考えています」(吉本)。
駿河屋では、店のスタッフの意識も高まってきて、障がい者にできることを見つけて提案することもあるそうです。
「障がい者への理解が深まって、働く機会が増えていけばいいなと考えています。いろいろなことにチャレンジしていくなかで、その方の能力に気付くことや、発見もあると思います。几帳面に仕事に取り組んでいただいていますし、健常者にはかなわないというような場面もあります」と吉本さん。
《食事を大切にすることは、未来の命を大切にすること》というポリシーのもとで、食にこだわり、地域の人たちの信頼を深めてきた駿河屋。
「自分たちがおいしいと思うものを売っている店として、自分たちで納得するものを多くの人たちに薦めたいと考えています。地元のスーパーとして、地域への協力もしていきたい」と、吉本さん。

ようこそ、山ゆりベーカリーへ。

「〝おいしい〟と言ってもらえると、とってもうれしい」

  • 山ゆりベーカリー(吉城山ゆり園古川分場)
  • 飛騨市古川町若宮2-1-66
  • TEL.0577-74-0260 FAX.0577-74-0263

一人ひとりが大切な戦力です
一人ひとりが大切な戦力です

パンづくりは楽しいと話す利用者
パンづくりは楽しいと話す利用者

パンづくりの様子

パンづくりの様子
パンづくりの様子

「いらっしゃいませ」、「ありがとうございます」。
昼どきともなると、ロビーに明るい声が響きます。
JR飛騨古川駅の北にある古川町総合会館のロビーには、火曜日から金曜日までの毎日、山ゆりベーカリーのおいしいと評判の焼きたてパンが並びます。
お目当てのパンを買っていく人、迷いながら品定めをする人など、たくさんの人たちが楽しそうにパンを買っていきます。

「パンづくりは楽しいですか?」との質問に、「楽しい!」と口を揃えるのは、吉城山ゆり園古川分場(通称山ゆりベーカリー)で働く利用者のみなさん。
 吉城山ゆり園(高山市国府町宇津江)は、知的障がい者の方を対象とした障がい者支援施設です。《主たる障がいが知的障がいであって、一般雇用されることが困難な方に利用してもらい、自活に必要な支援を行うとともに自立することを目的とした取り組み》を続けています。
山ゆりベーカリーは、吉城山ゆり園にあった食品加工部門から継続したもので、現在十五名の利用者を四名のスタッフがサポートしています。「多い日は、1日に300から500個のパンを作っています」と話すのは、スタッフの今井さん。飛騨市総合会館のロビーでの販売がメインですが、市役所や学校、飛騨市内の企業などにも販路を広げ、最近では注文販売もスタートしました。
 ここでは、材料の計量から、成形、パンケースの油塗り、焼成、洗い物まで、利用者は得意なことを活かしながら役割分担をしてパン作りに取り組んでいます。「包丁を使うのが上手な人、生地をオーブンで焼くのが得意な人、洗い物が好きな人などさまざまですが、それぞれが自分の工程をちゃんと把握して作業しています。みんなとても頼りになるので誰がいなくなっても困るんです」と今井さん。忙しい日には昼食をとる時間が遅れてしまうこともあるそうですが、誰一人文句を言わず取り組んでいるといいます。また、誰かが仕事を休んだときには、自分の仕事をこなしながらもしっかりフォローしてくれるのだそうです。
今では山ゆりベーカリーのパンは、ほぼ毎日完売してしまうほどの人気ぶり。〝おいしかったよ〟と声をかけてくれる常連さんも多く、接客を担当している利用者は「パンを袋に入れてお客さんに渡すときが一番楽しい」とうれしそうに話します。
 店頭に並ぶパンは、およそ四十種類。一番人気はメロンパンとのことですが、利用者たちに山ゆりベーカリーの好きなパンを尋ねてみると「あんぱん」、「クリームパン」、「コーンマヨパン」と次々にいろんな名前が挙がります。なかには、「今度はカレーパンや揚げパンを作ってみたい」と意気込む利用者も。「みんな本当に食べることが好きなんです」と今井さんは笑います。今後もお客さんの意見も取り入れながら、新商品を考案していきたいとのこと。
 「一生懸命作っているので、ぜひ買いに来て下さい」。利用者のみなさんは、最後にしっかりと《山ゆりベーカリー》をアピールしてくれました。


地球に舞い降りた天使たちⅣ
「働くことは、生きるチカラ。障がい者に、もっと働く機会を。」

住み慣れた地域の中で自立すること。それは、障がい者自身の希望であり、また支援する人たちの切実な思いでもあります。
いま飛騨地域では、働く喜びと充実した暮らしを実現してくれる施設づくりに向けて、さまざまな取り組みが続いています。

※↓各タイトルをクリックすると詳細がみられます。

地球に舞い降りた天使たちⅣ

益田山ゆり園

社会福祉法人飛騨慈光会障がい者支援施設 益田山ゆり園


「むぅ工房」の仲間たち


さをり織り


ブルーベリージャム加工作業


ぶなしめじ菌床みがき


さをり織りの作品


左より向田さん、沖野さん(益田山ゆり園長)、今井さん

昭和61(1986)年7月に開園した、益田山ゆり園。社会福祉法人飛騨慈光会の掲げた《飛騨福祉圏構想》に基づいて開設されました。
「南飛騨で唯一の入所施設です。ここでは寄り添う支援をめざした〝一人ひとりの暮らし方〟をサポートしたいと願って取り組んでいます。とくに〝意思決定の支援〟に配慮していますが、そのためには利用者との信頼関係が大切です」と話してくれたのは、施設長の沖野さん。
ここには、支援学校を卒業した10代から70代まで、幅広い年齢の利用者がいます。日中の活動は4つのグループ(工房)での作業などがメインで、なかでも《むぅ工房》で取り組む〝さをり織り〟は、個性にあふれた作品で、これまでも展示会などに出展しています。またぶなしめじの菌床となる部品みがきや、《生産工房》での綿棒の袋詰めなどのほか、《工房ふぁーむ》では山ゆり福祉農場で採れたブルーベリーのジャム加工などに取り組んでいます。そして《ほのぼの》では創作活動や健康活動と、多岐にわたります。
「活動の場を提供することで、生き甲斐やはげみをもってもらうことができます。ここは町から離れているため、町に出かけて喫茶店に行ったり催し物などにも参加しています。また山ゆり園で行われる盆踊りには、地域の人たちに参加してもらっています。日ごろの活動を支えるのは20名のスタッフで、コミュニケーションを大切にしながら、自分らしさを発揮してもらうことに重点を置いています」と沖野さん。

社会福祉法人「飛騨慈光会」の福祉事業

飛騨慈光会は、飛騨を一つの福祉圏としてとらえ、「暮らしの場」を中心とする子どもたちや、障がい者の多様な要求に応えるために、地域に根ざした総合的な施設づくりをめざしてきました。飛騨福祉圏を確立するための第一段階である施設適正配置計画は、「益田山ゆり園」、「吉城山ゆり園」、「大野山ゆり園」、「飛騨うりす苑」の建設によって、広範な地域を有機的に連携させる拠点を築きつつあります。今後は、拠点(施設)を土台に医療、教育、労働の場との連携を強め、質の高い福祉圏の確立と取り組みを推進していく予定です。

このセンターが行う事業は下呂市から委託されたもので、障がい者のさまざまな相談と支援の窓口として、小坂町から金山町まで幅広くカバーしています。
 「相談者一人ひとりの悩みが異なりますから、一つひとつ対応しています。高山市の事業所(ぷりずむなど)と連携した求職活動や、ジョブコーチの活用などにも取り組んでいます」と話してくれた向田さん。この春から施行さ れた《障害者総合支援法》では「意思決定に配慮すること」が義務づけられており、センターではこれまで以上にコミュニケーションを大切にした支援を心がけています。
 また併設の益田生活サポートセンターでは、食事づくりや入浴支援、ショッピングや映画鑑賞、温泉入浴など余暇の支援にも取り組んでいます。幼児から高齢者まで、障がいのある方たちへのヘルパー事業所です。

  • 下呂市萩原町萩原1636今庄ビル1階
  • 〈下呂市障がい者生活相談センター〉
    TEL.0576-52-2787 FAX.0576-52-2363
    Email gero-soudan@coda.ocn.ne.jp
  • 〈益田生活サポートセンター〉
    TEL.0576-52-2313 FAX.0576-52-2363
「飛騨慈光会」施設一覧
障がい者支援施設
「高山山ゆり園」 高山市山田町781-71
「益田山ゆり園」 下呂市萩原町尾崎958-302
「大野山ゆり園」 高山市丹生川町細越738-2
「吉城山ゆり園」 高山市国府町宇津江440-1
「飛騨うりす苑」 高山市国府町瓜巣2000-1
児童擁護施設
「夕陽ヶ丘」 高山市山田町1230-13
ひだ障がい者総合支援センター
「ぷりずむ」 高山市天満町4丁目64番地8第一ビル
母子生活支援施設
「清和寮」
山ゆり福祉農場
高山市朝日町見座(美女高原内)
ひかりの家・コスモス

社会福祉法人下呂市社会福祉協議会 下呂市障がい者就労支援センター
ひかりの家・コスモス

  • 下呂市森134-1
  • 〈ひかりの家〉 TEL.0576-25-6680
  • 〈コスモス〉 TEL&FAX.0576-25-4300
  • Email cosmos@gero-city-syakyo.jp


ひかりの家・コスモスのスタッフ


コスモスでの仕事風景


牛乳パックを再利用した箸置き


コースター、ぞうきんなどの自主製品

 「ひかりの家・コスモスの皆さんの素晴らしい面や才能・能力が活かせるような関わりを日々心がけています」と話すサービス管理責任者の和田さん。

ひかりの家は知的障がいの、コスモスは精神障がいのある方の家族が立ち上げた作業所が母体で、開所当初からの利用者を含めて、ひかりの家には13名、コスモスには18名が通っています。「10代から60代の方まで、幅広くご利用いただいております。ひかりの家・コスモスを利用される目的や目標も各々で異なるので、仕事内容はもちろん、行事や活動にも工夫や配慮をしています」と和田さん。地元の企業から委託された綿棒の袋詰めやゴム製品のバリ取り・箱折りなどの内職をはじめ、下呂市の広報誌や観光パンフレットなどの袋詰め・発送準備も行っています。自主製品としては、地元のホテルや旅館から譲り受けたタオルをミシンがけしたぞうきん、牛乳パックを再利用した箸置き、和柄のコースター・しおりなどがあります。「地元の旅館やお土産屋さんにも置かせてもらっていますが、海外からの観光客には『和』の模様が好評なんですよ。皆さんが丁寧に手がけた製品を通して、市民の皆様はもちろん、市外・県外・国外の方々にまでひかりの家やコスモスのことを知っていただけるということが何よりも嬉しいです。ご利用者の皆さんは、本当に勤勉で、働くことに対してまっすぐなんです。休憩時間になっても声をかけないと休まれないくらい。私たちが頑張っても出来ないことや、かなわないことが本当にたくあんあって、皆さんから学ばせていただくことの方が多いくらいですよ」と和田さんは笑います。「下呂市街の商店さんに囲まれて恵まれた立地条件の中で運営させてもらっているので、そんなメリットを活かしながら、ご利用者さん・ご家族の皆様にはもちろん、地域の皆様にも親しまれる事業所にしていきたい」と、和田さんは意気込みを話してくれました。

ぎふちょう金山

社会福祉法人下呂市社会福祉協議会 下呂市障がい者就労支援センター
ぎふちょう金山

  • 下呂市金山町大船渡600番地8
  • TEL.0576-32-2817 FAX.0576-34-0058
  • 〈コスモス〉 TEL&FAX.0576-25-4300
  • Email gifucyo-k@gero-city-syakyo.jp


ぎふちょう金山スタッフ


作業風景(ひとつひとつ、丁寧に)


自主製品の一部

 平成21年4月に開所し、平成24年7月から単独の事業所としてスタート。名前も《ぎふちょう金山》となり、定員も20名に増えました。現在、登録しているのは14名で、1日平均 約10名が通っています。

 仕事内容は、鉄道用ゴム製品・自動車ゴム製品のバリ取りや、旅館・ホテルで使うタオルと歯ブラシのセッティング、東日本大震災の被災地支援を目的に販売されているお菓子『チョコボ』の箱詰めや包装をする仕事などを行っています。「ありがたいことに、仕事はコンスタントにいただけています」と笑顔で話す職業指導員の後藤さん。

毛糸で編んだアクリルタワシやストラップ、旅館・ホテルから譲り受けたタオルをミシンがけしたぞうきんなどを、ぎふちょう金山の自主製品として地域のイベントで販売したり、お土産屋さんにも置いてもらっています。今後は新たな自主製品の開発・販売にも力を入れながら、地元のイベントなどにも積極的に参加していきたいと思っています。

「ぎふちょう金山をもっと地域の方々に知っていただき、利用者さんが事業所内だけではなく、地域でも活躍できる場をどんどん増やしていきたいです。皆さんが住み慣れた地域で安心して幸せに暮らしていただけるような関わりを、日々心がけています」と話すサービス管理責任者の山田さん。

「仕事がたくさんあれば、利用者さんの意欲や励み、やりがいにも繋がります。仕事が増えてくると、『家に持ち帰ってやってもいいですか?』と言われる方もみえるくらいです。各々が自分の得意分野で活躍できて、休みがちだった人が毎日通われるようになったり、生活リズムが整ったりと、そんなメリットもあるんですよ」と後藤さん。

ひだまりの家

社会福祉法人下呂市社会福祉協議会 下呂市障がい者就労支援センター
ひだまりの家


ひだまりの家スタッフ


こつこつと仕事に取り組む利用者


自主製品の一部(アクリルたわし・バスマット)

 《ひだまりの家》は、「まもなく特別支援学校を卒業するわが子に、仕事をするやりがいや、お金を手にする喜びや楽しみを体験させたい。また、地域の皆様にもわが子の働く姿を自然な形で見ていただければ」という、家族の思いから始まりました。開所当初(平成11年3月)はたった1人で始まったひだまりの家ですが、現在では利用者も15名に増え、もっとたくさんの人に利用してもらえるようにと昨年7月より定員を20名に増やしました。

 ひだまりの家では、綿棒の袋詰め・ゴム製品のバリ取りなどの内職をはじめ、下呂市の広報誌の袋詰めや発送準備、そして毎週水曜日には星雲会館の清掃、毎週木曜日にはコープ(生協)のステーションとして商品の仕分けやお客様への受け渡しを行っています。「商品を受け取りにみえたお客様から『元気で明るくて雰囲気が良いね』とお褒めの言葉をいただくこともあり、私たちスタッフも嬉しく感じています。自主製品としては、ぞうきんやアクリルたわし・シュシュなどを作っています。『障がいがあるからできないんじゃないか』という先入観があるかもしれませんが、皆さんには私たちよりも得意なことがたくさんあります。時間はかかるかもしれませんが、繰り返し行うことで必ず出来るようになると私たちは信じています。仕事を通してさまざまな経験をしながら、できなかったことができるようになり、そんな喜びを共にわかちあえる、それが一番嬉しい瞬間です。最初から完璧に仕事ができる人はいません。おひとりおひとりの要望や目標に寄り添いながら、皆さんの夢や希望が叶えられるような個別支援を心がけています」(スタッフ)。

毎月1回、土曜日には『午前開所日』として、喫茶店にモーニングに行ったり図書館で本を借りたりといった活動も取り入れています。また、地域のボランティアの協力で、体操や茶道・調理実習などにも取り組んでいます。

「今後も地域とのつながりを大切にしながら、ひだまりの家のことをもっと多くの皆さんに広く知っていただけるように努力していきたい」とスタッフ。

たんぽぽファーム

NPO法人かがやきたんぽぽファーム


理事長の中川さん(右から二人目)、スタッフと利用者。


たんぽぽファームでの作業。ケアホームかがやきのスタッフも参加。


自然に囲まれた心地良い環境

「ここでは減農薬で、中玉のトマトと、ミニトマト、アスパラガス、そしてシイタケと、一年を通して作業できる環境にはなっています」と話してくれたのは、NPO法人かがやき理事長の中川さん。

「飛騨では農作業を中心とした初めての支援施設です。障がい者が、働くことで自立できるようにするということを考えています」と中川さん。

農業に取り組むことで、地域貢献にも参加できることや、万が一親が亡くなったあとも、1人で自立して生きていけるのではないかと言います。

収穫したトマトやアスパラガス、シイタケなどはいまJAなどに出荷していますが、できれば直売でやっていきたいという希望を持っています。
「2年前から、萩原の天領朝市に出店しています。6月から11月の毎週金曜日ですが、ケアホームかがやきの人たちやボランティアスタッフに袋詰めや束づくりをやってもらっています。アスパラガスは、リピーターもいるほど人気で、並んで待っている人もいるくらい評判です」と中川さんは目を輝かせます。

雇用が確保され、農作物を作って売って、現金収入があるという、これからの新しいカタチとして、飛騨でひろまっていけばいいなと考えています。また、農場の近くで、採れた農作物を実際に料理として提供するレストランにも挑戦したいと、夢は広がります。「親たちの希望で、ケアホームから始めました。ここまでやってくることができたのは、スタッフのおかげです」と中川さんはスタッフに感謝しています。

農業はこれからの可能性を秘めていると話す中川さん。天候に左右されることはあっても、需要は必ずあると言います。よくいわれる、作り手の顔が見える商品は、販路さえ確立できれば可能性は広がっていくと考えています。 

ケアホームかがやき

NPO法人かがやきケアホームかがやき

  • 下呂市萩原町萩原1827番地
  • TEL&FAX.0576-52-3367
  • 理事長/中川智文 施設長/新屋伊都子 副理事長/田口純子 サービス管理責任者/遠藤才英


左から田口さん、新屋さん、遠藤さん


この絵の一部が、ケアホームかがやきのロゴに。


入居者の作品

《ケアホームかがやき》は、平成23年4月にオープンしました。ここにはいま、4人の入居者がいます。スタッフは11人で、交代制で入居者の生活支援をしています。オープン当初はスタッフがなかなか集らず、会員の家族や知り合いで支え合いながらここまでやってきました。

障がいのある子をもつ親として、子どもたちが安心して豊かに暮らしていける環境を作りたいと考えていた田口さんと新屋さん。

「いつかは、親ではない誰かにお世話になるときがきます。そのときに、ひとつでも多く自分の力でできることがあればと思っています。私たちが元気なうちに、自立できる力をつけておきたい」と新屋さん。そしてその思いの実現のために奔走したのが、理事長の中川智文さんです。
家庭ではない場で社会生活を体験することで、学ぶことはたくさんあります。ここでは、夕食作りや共有スペースの掃除、ゴミ出しなど、いろいろなことを当番制でやっています。スタッフの指導や協力を仰ぎながら、順番に担当し、着実に力をつけています。

また、毎日の暮らしのなかに、入居者の交流活動も取り入れています。ひなまつりやお月見、誕生会など、四季の移ろいを味わいながら、入居者同士が思いを共有し、交流を深めてほしいと願っています。ボランティアの協力で、お茶会も実施しています。こうした活動や入居者の生活全般については、サービス管理者の遠藤さんが中心となって企画運営をしています。

「自宅とは違って制約は多くありますが、楽しく生活をしているようです。親が教えることには限界があります。遠藤さんたちに教えてもらうことで、いろいろなことが少しずつできるようになってきています」と新屋さん。

《ケアホームかがやき》ではいま、事業としてこの活動を続けていくための道を模索しています。より多くの人たちにホームの現状を知ってもらうことを通して支援してもらうと同時に、スタッフたちも地域に貢献できるよう、日々の活動に取り組んでいます。《ケアホームかがやき》の定員は7名。いま、いっしょに生活する人を募集しています。

ケアホーム

ケアホームでは、入居者同士が協力しあって暮らします。そこで生活している障がい者は、昼間は会社や作業所など通勤・通所し、そこで得た給料等で家賃や食費、光熱水費等の生活費を負担し、自立した生活を送ることができることをめざします。それぞれの障がい者には個室があり、食堂やお風呂などは共同スペースとなっています。入居後は、世話人や生活支援員が生活面での助言や指導も行います。障がい者にとって、地域における大切な生活の場となっています。

地球に舞い降りた天使たちV
「一人ひとりの可能性を引き出す、自立支援教育。」

岐阜県では特別支援教育について、平成18年に「子どもかがやきプラン」を策定、平成21年に改訂しました。《地域で学び、地域で育ち、地域に貢献する》 というもので、〝障がいの有無や状態にかかわらず、誰もが互いに尊重しあい、一人一人の能力を最大限に発揮することができる「共生社会」の実現を目指し、地域の人たちと適切な人間関係を構築し、地域で自立した生活をし、地域に貢献するチカラを育成するための育環境整備を行います。〟を基本理念としています。

地球に舞い降りた天使たちV

岐阜県立下呂特別支援学校

岐阜県立下呂特別支援学校


校長 滝村一彦先生


木工作業の実習


さをり織に取り組む生徒たち


生徒たちの作品


ろくろ工房「笑蛙窯」で陶器づくり


蛙をデザインした下呂らしい箸置き

岐阜県立下呂特別支援学校

これまで高等部だけだった〝飛騨特別支援学校下呂分校〟は、あらたに小学部・中学部が設置され、平成25(2013)年4月に岐阜県立下呂特別支援学校としてスタートしました。ここには小学部四名、中学部四名、そして高等部二八名の、あわせて三六名の生徒たちが学んでいます。
 「これまで、障がいのある子どもたちは、小・中学校では支援学級へ、また高山の特別支援学校まで一時間以上かかって通学していました」と話してくれた教頭の鈴木先生は、下呂分校時代から数えてことしで3年目となります。
 高等部では、社会に出て働くための基本的なことを学びます。「仕事に対して素直に取り組めますので、のびのびやっています」と、作業中の子どもたちを見ながら話してくれたのは校長の滝村先生。  
「障がいの軽い子から重い子までいますが、全員がどこかの班に所属してプログラムをこなしています」と案内されたのは陶芸の部屋で、ここは〝笑蛙窯〟という愛称で呼ばれています。「教頭先生が名付け親です」と校長先生は笑います。マグカップやグラタン皿、丸皿、箸置きなどをつくる子どもたちの目は真剣で、それぞれが役割を分担して取り組んでいます。
 そのほかにも、木工を学ぶ部屋や、さをり織にも取り組む子どもたちがいます。
 〝売れるものをつくる〟ことを、作業をしながら学びます。
 「いまは、機械化などが進み、この子たちが担う仕事が減ってきています」と、校長先生。
 「学校にいるうちは、手厚く見守ることができますが、卒業してからの子どもたちの進路は、厳しいですね。仕事の評価をシビアに下される職域に入っていきます。経済が厳しくなればなるほど機械化が進み、人の手を煩わさずにできる工場ができてきました」と、子どもたちの将来を案じます。
 飛騨ならではの良さをいかした仕事があるのではないか、と言うのは教頭先生。
 「箸置きを、下呂の旅館組合などで使ってもらえるといいですね。蛙をあしらったデザインで、下呂の特産になればいいなと思っています。価格もとてもリーズナブルになっていますから」と、教頭先生は笑います。
 下呂特別支援学校は、旧益田清風高校下呂校舎を改修したものですが、広々とした教室や図書室、コンサートもできる体育館には暖房設備もあります。またジャグジープールや医療的ケア室のある保健室など、設備・機器も充実しており、スクールバスなど通学の便も確保されています。
 「子どもたちの可能性は無限です。そこで、ひとつの才能をみつけたときは、保護者に伝えて密接な連携をとりながら上手にのばしていければいいなと思います」と校長先生。

学校目標
■地域社会で主体的に生活する力を育てる
●児童生徒が、学びたいと思う学校
●保護者の方が、安心して我が子を学ばせたくなる学校
●地域の方が、信頼し、期待する学校
教育課程
■児童生徒の障がいに応じた教育課程
●知的障がいを対象とする教育課程
●教員が家庭を訪問して行う教育課程(訪問教育)
●重複障がいを対象とする教育課程
●小学校、中学校、高等学校に準じた教育課程(肢体不自由、病弱)
飛騨市障がいのある人を支える会

飛騨市障がいのある人を支える会

  • 代表 山下恵美子(神岡町)・奈木桂子(古川町)
  • 支える会では、目的に賛同する人たちの参加を希望しています。
  • 問い合せ/090-3589-0352(山下)または090-4227-3610(奈木)まで。
  • (年会費1,000円)


代表の奈木さん(右)と会計の森下さん


支える会で販売している手提げ袋など

 〝障がいの有無にかかわらず、生涯にわたって安心して暮らせるまちづくり〟をめざして、平成20年6月に設立された《飛騨市障がいのある人を支える会(以下支える会)》。
 それまで、障がいのある子どもを持つ親たちは、古川町、神岡町でそれぞれに活動していましたが、この会では古川町、神岡町だけでなく、河合町や宮川町の人たちも一緒になり、また目的に賛同する市民にも関心をもってもらうことで、飛騨市全体でひとつになって活動することになりました。
 かねてより、障がいの重い子どもたちは、特に冬期の積雪時に高山市までの通学が大変で、保護者の送迎にも限界がありました。できれば一日でも早く、飛騨北部地域に特別支援学校の建設を願って活動を続けていましたが、岐阜県の財政が厳しいときでもあり、せめてスクールバスの運行をして欲しいと要望をしていました。
 また特別支援学校は、統廃合で使われなくなった学校の校舎を再利用することもあり、支える会では飛騨市立古川小学校の旧校舎を、耐震工事とエレベーターの設置で対応してもらえないかと考えていました。
 「支える会で検討した結果、町の中にあるし、駅も近い、通学も便利だということで、最初は改修なら早いだろうと思っていました。こんな立派な校舎ができるとは思いもしなかった」と奈木さんは笑顔で話してくれました。
 ただ、学校の完成はスタート地点だと言います。「これから本当に子どもたちが地域で生活していけるのかということが、これから構築されていくことが必要で、むしろ、これからやるべきことがたくさんあるし、気持ちを新たにしています」と気を引き締めます。
支える会の現在の懸案事項は、卒業後の進路先が少ないこと。
 「どんな障がいがあっても、自分の想いや願いに叶う受け皿づくりを、企業や飛騨市などに要望していきながら、自分たちの手で、卒業後の居場所づくりをするために動き始めています」と奈木さん。
 いま支える会では、啓発活動の一環として〝ベルマーク運動〟を展開しています。特別支援学校の備品整備に協力しようと、およそ240名の会員や市内の有志がボランティアで収集と整理にあたり、3年間で約7万点のベルマークを寄贈することができました。ベルマークの収集とともに、会員手製のティッシュケースや手提げ袋、マグネットなどを販売。卒業後の居場所づくりの資金に役立てるつもりです。

岐阜県立飛騨吉城特別支援学校

岐阜県立飛騨吉城特別支援学校

  • 飛騨市古川町片原町8-127
  • TEL.0577-73-3600 FAX.0577-73-7330
  • 平成25年4月開校。岐阜県内で初めて、小学校(飛騨市立古川小学校)と同一の敷地内にある
  • 校舎は2階建てで、全面バリアフリー
  • 学級数/11学級(小学部4・中学部2・高等部5)


校長の松井みどり先生


真新しい校舎で子どもたちものびのびと学ぶ

  この春に開校した、《岐阜県立飛騨吉城特別支援学校》。新築でぴかぴかの校舎ではいま、小学部7名、中学部4名、高等部十一名の子どもたちが元気に学んでいます。この学校はJR飛騨古川駅からほど近く、また飛騨市立古川小学校に隣接しています。
 「障がいのある子もない子も自然にふれあいながら、一緒に育っていくことができます」と話してくれたのは、校長の松井みどり先生。
《特別支援学校》は、視覚障がい者、聴覚障がい者、知的障がい者、肢体不自由者、または病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障がいによる学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています(学校教育法第七二条)。
 岐阜県では平成十八年に《一人一人の可能性を引き出す自立支援教育 子どもかがやきプラン》を策定、各地域の特別支援教育の核となる特別支援学校の整備や、特別支援教育を推進するための体制を整備してきました。その後平成21年に改訂され、特別支援学校未整備地域における特別支援学校整備候補地やスケジュール等の具体的計画が策定され、飛騨北部地域の新設校整備スケジュールに則って新設されたのが飛騨吉城特別支援学校です。
 実現にあたっては、保護者の切実な要望や、飛騨市による土地の提供などの協力が功を奏したのではないかと話してくれたのは、[飛騨市障がいのある人を支える会]の奈木さん。
飛騨吉城特別支援学校では、知的障がい、肢体不自由、および病弱の子どもたちを受け入れることができるような・施設・設備が整っています。
 「ここは市街地にあって、町中に出るにも本当に便利です。子どもたちが実際に町に出て体験できる環境は、大きな学習効果が期待できます。そういった点で、ここはとてもいい場所だと思います。22名と県内では少人数の学校ですが、アットホームで、子どもたちにも使いやすい校舎になっています。環境が変わると慣れないお子さんも多いのですが、環境が変わったことをいいステップにしてくださっているお子さんが多く、うれしく思っています」と笑顔で話してくれた松井先生。
 窓の位置や大きさなど、採光にも工夫された校舎は、明るく広々としています。図書室や音楽室、調理室、体育館などが整備されたほか、あちこちに利用する子どもたちのための工夫が施されています。

株式会社 打江精機

株式会社 打江精機

  • 代表取締役社長 打江信夫・取締役 打江記代
  • 高山市匠ヶ丘町239-1
  • 昭和26年打江鉄工所創業、昭和35年有限会社打江鉄工所設立。
    平成5年株式会社に組織変更。平成15年ISO9001認証取得。 平成25年3月、ISO14001認証取得。
    社訓 すべてに感謝を すべてに愛情を 常にほがらかに


社長の打江信夫さん(左)と記代さん


真剣に作業に取り組む


「障がいを克服し他に範を示した」と、厚生労働大臣表彰を受賞した牛丸さん

 建設機械や産業機械の、いわば心臓部ともいえる油圧機器。そのなかでも高い精度を要求される油圧バルブやポンプ、モーターの部品などを生産している打江精機は、昭和二十六年の創業。昭和六十三年に現在地に移転し、コマツの建設機械などの油圧部品をつくっています。
 「私が小学生のころ(昭和四十五年)に、会長(故人)が山ゆり学園の第一期生を採用したのが最初だったと思います。社員寮に入ってもらって、会長夫妻が世話をしていました。私も食事を一緒にしたり、銭湯に通ったりしていました」と話してくれた打江信夫さん。
 いま、打江精機では十四名の障がい者が働いています。
 「四十年間にわたる障がい者雇用の歴史があり、障がいのある方が働いているのが当たり前の職場環境になっています。ほかの社員の方にも、こういう会社なんだという認識をしてもらっています。親睦会や会社の行事には、障がいのある方も必ず出席します」という記代さんは、障がい者職業生活相談員でもあります。
 「いまは退職されましたが、障がい者の雇用を始めて四十年の間、経理・総務課長の女性が中心となって、障害のある方の日常生活や仕事の支援に懸命に取り組んで来られました。私はその後ろ姿を見てさまざまなことを学ばせていただきました」という記代さんは、身だしなみや挨拶など、障がい者が社会生活を営むために必要なマナーを身につけてもらうようにしています。また、寮で生活する障がい者には健康診断による生活習慣病などの予防など、健康には注意を払っているといいます。
 そして、雇用した障がい者の方はいずれ、退職を迎えるときがやってきます。
 「ここで何十年も働いてもらっていますので、退職後の生活がきちんとできるかなと、とても気になるんです。障がいのある方たちが、この会社に入ってよかったなと思ってもらえるような職場づくりを、これからもつづけていきます」というのが打江精機の皆さんの想いです。

パワフルエンジェルズ

ダウン症の子を持つ親の会 パワフルエンジェルズ


元気なエンジェルたちとお母さんたち


代表の石原さん(中央)

 ヒトは、22対の常染色体と、2本の性を決定する染色体の、合計46本の染色体を持っています。染色体の中の、21番染色体が通常より1本多く、3本あるために引き起こされる症状を《ダウン症候群》と呼びます。イギリスの眼科医ジョン・ラングドン・ハイドン・ダウンが報告したことからその名がつきました。〝ダウン症〟と略称で呼ばれることが多いですが、ダウン症の子どもを持つ親たちは、愛情を込めて、彼らを《ダウンちゃん》と呼んでいるそうです。
 ここ飛騨には、ダウン症の子どもたちを持つ親の会〝パワフルエンジェルズ〟があり、定期的に交流の場を設けています。
 「続けてやっていくことになったのは、集まって話す機会が必要だったからです」と話してくれた代表の石原さん。
 「ダウン症の子を持つ親や家族の集まりがあれば、その病気ならではの悩みを話し合うことができます。たとえば、しゃべることや歩きはじめることが遅いとか、同じ悩みを抱えたお父さんやお母さんたちと話す事で分かりあえることもあるし、もちろん分からないこともあるけど、少しでも悩みを軽く出来たらと思います」。
 この会で、1番幼い3ヶ月の赤ちゃんを持つお母さんは、インターネットで会の存在を知ったそうです。
 「ダウン症の疑いがあると診断を受け、インターネットでいろいろ調べていたら、親の会がでていました。ダウン症なのかどうか、結果が出るまでの3週間は気持ちが浮き沈みしましたが、親の会があるということがわかって、心の支えになりました」と話します。
一般に、ダウン症候群を持った子どもが生まれる確率は800分の1と言われており、その9割は遺伝性ではありません。
 「最近は、出生前診断が話題になっていますが、検査を受ける前に、まずダウン症の事を知ってもらえたらと思います。実際、この子たちはこうして社会の中でちゃんと育っています。障がいがあるからといって、排除してしまったり、産まれる前から避けるのではなく、そうした子たちを受け入れられる社会になればいいですね」という会員たち。
 「生まれてきて育ててみると、育児書通りではないにしても、他の子とは全然変わらないし、全然特別という感じでもない」と、顔を見合わせながら話すパワフルエンジェルズのみなさん。
 その日集まってくれた子どもたちは、人懐っこい笑顔を見せてくれます。他人と競うことなく、それぞれ自分なりのペースで成長していくことの大切さを気づかせてくれたひとときでした。

■ダウン症の子を持つ親の会
ダウン症の子を持つ親たちによって、2010年に結成された。数ヶ月に1回のペースで集まり、子育ての悩みや相談などの交流の場となっている。会員は飛騨地域在住のダウン症の子を持つ親たちで、17~18家族が会に登録。会の名である“パワフルエンジェルズ”とは、ダウン症の子どもたちがしばしばエンジェルと形容されることを受け、そんな彼らが自分たちのペースで元気いっぱいにすくすくと育つことから名付けられた。

地球に舞い降りた天使たちVI
「特別支援教育」

障がいのある子どもたちが自立し、社会参加するために必要な力を培うため、子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その可能性を最大限に伸ばし、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導および必要な支援を行う。

*平成十九年四月に施行された改正学校教育法により、すべての学校において特別支援教育を推進することが法律上も明確に規定されました。

地球に舞い降りた天使たちVI

岐阜県立飛騨特別支援学校

岐阜県立飛騨特別支援学校

  • 高山市山田町831番地44
  • TEL.0577-34-7122 FAX.0577-34-6813
  • E-mail/c27375@gifu-net.ed.jp
  • ●生活自立:基礎体力・身辺自立・基本的な生活習慣・基礎学力
  • ●社会自立:対人関係能力としてのコミュニケーションの力・規範意識
  • ●職業自立:ビジネスマナー・職業に関する知識・技能等


校長の小野義孝先生


パンづくり


木工班


染色


陶芸製品

高山市山田町、岐阜県立飛騨高山高等学校山田校舎に隣接する、岐阜県立飛騨特別支援学校。前身は昭和54年に創立した岐阜県立飛騨養護学校で、平成19年4月に岐阜県立飛騨特別支援学校となりました。
 ここでは、小学部・中学部・高等部で117名が学んでいます。
 なかでも、高等部は卒業すると実社会に出る生徒が多いため、就労に結びつけることができるよう、週に3日、9時間の作業学習の時間があります。木工をはじめ、陶芸や縫製、染色などさまざまですが、それぞれの生徒の特性にあわせた取り組みがなされています。また6月には現場実習といって、2週間にわたって、市内の企業や福祉事業所などで実際に働くための体験をします。
 「ほとんどの生徒が参加しますが、職員や保護者、そして本人もとても真剣です。この現場実習では、生徒たちの働く姿を企業の担当者に見てもらうことで、さまざまな評価をしてもらうことができます」と話してくれたのは、進路指導主事の太田先生。
「この時期は中学部でも、職業意識を高めてもらうために校内で作業実習をやっています。職員が請け負ってきた、ラップの箱のシールはりや、牛乳パックを再生したはがきづくりなどですが、少しずつ職業意識を高めてもらうことにしています」と、学校の教育方針について話してくれたのは校長の小野先生。
 最初に訪ねたのは、パンづくりに取り組む高等部の生徒たちです。焼き上がったパンは、学校の職員が購入していますが、「とてもおいしいんですよ」と、教頭の福村先生をはじめ、太田先生や高等部の主事である田屋先生は笑顔で生徒たちを応援します。
 飛騨特別支援学校の高等部では、1年生の初めにパンづくりや陶芸、染色・縫製、木工などすべての作業を体験します。そして5月の中旬には、どこに所属するかを決めます。
 「作業内容をそのまま生かして就労できることは稀なので、働く姿勢やマナーを体得させることを目指しています」と太田先生。
 「現場実習では働く姿勢や、がんばれる力を培ってほしいと思います。また、現場実習では、休み時間や食事のときに、他の人とコミュニケーションがとれるかなどについても、様子を見てもらって、指導やアドバイスをもらっています。生徒たちは、参加することで厳しさも分かるし、自分の評価を知ることもできるので、今後の学習活動にも前向きに頑張ることができます。回を重ねるごとに、少しずつ生徒たちが成長していくのが見えます」と田屋先生は目を細めます。
 高等部では年に3回、《やるやるマーケット》を開催しています。これは学校内で開かれる、いわばバザーで、保護者や一般の人たちを対象に、作業で作ったものを販売するイベントです。  「子どもたちにポスターをつくってもらって、近隣に掲示させてもらったり、いろいろ広報活動をしています。売ることや儲けることが目的ではなく、自分の作ったものが売れると、とても励みになるんです」と、教頭先生。
木工製品や陶芸製品、そして染色・縫製でつくったシューズ袋やティッシュケースなどが並びます。毎回とても好評で、すぐに売り切れてしまうものもあるのだとか。
 「特別支援教育も社会に理解されつつありますが、まだまだ充分ではないように思います。飛騨地区に3校の特別支援学校ができたことで、それぞれが連携して充実した教育ができるようになると思いますが、最終的には、地域の学校で、いろいろな障がいのある子たちが学ぶという姿が理想的です。そのためには教師自身が、障がいに対する理解やノウハウ、教育手法を学んでいく必要があるんじゃないかと思います。もちろん、そのためには学校と家庭、保護者の連携が必要です」と、校長の小野先生。

山ゆり学園

社会福祉法人 飛騨慈光会・福祉型障がい児入所施設(定員40名)山ゆり学園

  • 高山市山田町831-1
  • TEL.0577-32-6154


園長の田中さん


中庭で元気に遊ぶ子どもたち


お気に入りの絵本を見ています


大好きなプールに入っています

ひとりひとりを大切に。
おおらかに、健やかに、そして楽しく。

山ゆり学園は、3歳から18歳までの知的障がいを主とする障がい児童を対象とした入所施設です。こうした施設は岐阜県には山ゆり学園と岐阜県立ひまわりの丘第一学園(関市)の2カ所しかなく、山ゆり学園には中津川市や多治見市、大垣市などからも入所の申込みがあるそうです。

「飛騨地域のみなさまに支援していただいている施設ですが、障がい児の入所施設として岐阜県内で果たす役割も大きく、子どもたちが持っている力を発揮できるような施設として整えていきたいと思っています」と、学園の運営に取り組む姿勢を話してくれたのは園長の田中さん。
 飛騨地域にも支援学校が3カ所整備され、障がいのある子どもたちも、自宅から通うことができるようになりましたが、家庭の事情などで自宅を離れて暮らす子どもたちもいます。
 「ふだん家庭にいるような環境づくりをめざしています。お父さんやお母さんと同じように、子どもたちを大事に育てたいということを第1に考えています。ふつうに学校に行って、帰ってきたら遊んでそしてお風呂に入ってという、あたりまえのことを大事にしていきたいんです」と田中さん。
 夏休みなど、長期の休日には自宅に帰省する子どもたちも多いのですが、なかには「早く山ゆりに帰りたいといってくれるお子さんがいると聞いて、とてもうれしくて、私たちの励みにもなります」と笑います。
 山ゆり学園では、地域で暮らす障がいのある子どもたちの支援として、宿泊をともなう短期通所(ショートステイ)や1日のうちに数時間預かる日中一時支援も行っています。また通所では、重症の心身障がいや寝たきり、そして気管切開や、胃ろうなど、身体的にも厳しい状況の子どもたちも引き受けています。
 「介護を必要としながら入所できるところは、山ゆり学園しかありません。小さなことですが、こうした活動にも力を入れています。となりに支援学校があり、いろいろなことに協力してもらっていますし、連携できることがありがたいと思っています」と田中さん。
山ゆり学園では、入所者が18歳になると、出て行かなくてはいけませんが、その後の進路は年々厳しくなっています。
 「本人に働く力があっても、生活する基盤がないことが多く、支援すればちゃんと働くことができるんですが、難しいところもあります。18歳で出ていってもらうことが悩みでもありますが、反面、それを区切りに社会に出ていくことに向けて集中して、力を注ぐことができます」。
 山ゆり学園では、主に夏休みの期間を利用していろいろな行事を計画しています。昨年は名古屋港水族館に行きました。今年は、海やファミリーパークなどに行く計画があるそうです。
 山ゆり学園ではいま、子どもたちはA棟(男子棟)、B棟(女子棟)、自立訓練棟の三つの棟に分かれて生活しています。各棟にはキッチンや浴室があり、少人数で温かい雰囲気と安心して暮らすことができる環境がととのっており、部屋は個室を基本として配置してあります。
 「一人ひとりの障がいに個人差があり、対応が難しいことがあります。もっと広くていろいろな部屋が用意できるといいなと思うこともあります。ただ、子どもたちを見ていると、ちょっとずついろいろなことができるようになってくることがあって、そんなときはうれしいですね」と話してくれたのは、園長補佐の塩谷さん。いま学園のスタッフは総勢31名。日常生活から、遊びや食事までのサポートをしています。子どもたちは、ここから隣の支援学校に元気に通っています。

ゆりのこ(児童発達支援事業)
高山市山田町831-1 TEL.0577-32-6154
在宅の重度重複障がいのある方のための事業で、1日4~5名が午前9時から午後3時まで通園しています。運動やリハビリ、入浴、レクリエーション音楽療法など、一人ひとりの発達と生活の豊かさを目指して支援しています。

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